敗血症患者における肝クリアランス亢進とサブセラピューティック薬物濃度の指標としてのICGクリアランス
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7
概要
ICUの敗血症前向きコホート93例では、約半数にICGで肝クリアランス亢進が認められた。ICG-PDRはヴォリコナゾールやリネゾリドなど肝代謝型薬のサブセラピューティックなトラフを強力に予測し(AUC 0.853、最適カットオフ約20.65%/分)、敗血症での抗菌薬個別化投与に動的肝機能モニタリングの有用性を示した。
主要発見
- ICUの敗血症患者の49.5%に肝クリアランス亢進表現型(ICG-R15 < 6%)が存在した。
- ICG-PDRおよびICG-R15は肝代謝型/部分的肝代謝型抗菌薬(ヴォリコナゾール、リネゾリド)のトラフ濃度と強く相関し、腎排泄型薬剤とは相関しなかった。
- ICG-PDRはサブセラピューティック濃度を独立に高精度で予測した(AUC 0.853、最適カットオフ約20.65%/分)。
臨床的意義
敗血症患者ではICG-PDR測定により肝クリアランス亢進を同定し、リネゾリドやヴォリコナゾール等の肝代謝型薬の用量調整をTDMと併用して前倒しで実施する。動的肝機能指標を薬物動態モデル・投与プロトコルに組み込むべきである。
なぜ重要か
ICG-PDRという実装可能な動的バイオマーカーで肝クリアランス亢進と重要抗菌薬の低曝露を可視化し、敗血症における精密投与設計に直結する点が重要である。
限界
- 単施設・症例数は限定的であり、外的妥当性の確認が必要。
- ICG指標に基づく用量調整の介入効果は未検証で、対象薬剤も限定的である。
今後の方向性
ICG指標に基づく用量最適化を検証する多施設介入試験を行い、動的肝機能を集団薬物動態モデルへ組み込んだ精密抗菌薬治療を確立する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- II - 前向き観察コホートであり、中等度の質のエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER