ECMO管理下COVID-19患者の鎮静レベル:国際クリティカルケア・コンソーシアムデータベースによる比較解析
総合: 62.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 5引用可能性: 7
概要
VV-ECMO下のCOVID-19患者328例の多施設後ろ向きコホートで、継続的な神経筋遮断を避けた軽鎮静は、ECMO期間の延長と回路交換の増加を伴う一方で、90日院内死亡の有意な低下(高鎮静対比HR 3.23)および感染・出血合併症の減少と関連した。ベースライン重症度は概ね同等で、高鎮静群でP/F比のみ低かった。
主要発見
- 高鎮静(持続的神経筋遮断)は、低鎮静に比べ死亡ハザードが3.23倍と高かった。
- 低鎮静群は感染性・出血性合併症が少なかったが、ECMO期間は長く回路交換も多かった。
- ベースラインの重症度は概ね同等であり、高鎮静群でP/F比が低値であった。
臨床的意義
ARDSのVV-ECMO管理では、継続的な神経筋遮断を避けつつ軽鎮静を目標とすることを検討すべきであり、ECMO期間の延長や回路管理への注意が必要である。
なぜ重要か
ARDSに対するVV-ECMO中の深鎮静・持続的麻痺という従来のパラダイムに疑義を呈し、軽鎮静が生存と合併症の面で有利である可能性を示したため。
限界
- 後ろ向き観察研究であり、適応バイアスなど交絡の可能性
- 鎮静曝露の分類に限界があり、COVID-19特異的状況による一般化可能性の制限
今後の方向性
VV-ECMO中の軽鎮静と深鎮静を比較する前向き試験を実施し、患者中心の転帰や神経認知後遺症も評価するべきである。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 調整済み生存解析を伴う後ろ向き多施設コホート研究
- 研究デザイン
- OTHER