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日次レポート

内分泌科学研究日次分析

2026年01月08日
3件の論文を選定
99件を分析

99件の論文を分析し、3件の重要論文を選定しました。

概要

本日の注目は代謝・内分泌領域の3報です。Science論文は、カルニチン生合成と燃料スイッチングに必須のミトコンドリアTML担体SLC25A45を同定しました。Cell Metabolism論文は、ACLY/ACSS2二重阻害薬EVT0185が肝星細胞活性化経路を抑制して脂肪肝と線維化を軽減することを示しました。さらに、Nature Communicationsの大規模コホートは、複数の保存料食品添加物への高曝露が2型糖尿病リスク上昇と関連することを示しました。

研究テーマ

  • ミトコンドリア代謝物輸送と燃料選択
  • 脂肪性肝炎・線維化におけるアセチルCoAソースの治療標的化
  • 保存料食品添加物曝露と2型糖尿病リスク

選定論文

1. カルニチン生合成を介した燃料スイッチングのミトコンドリア制御

87Level V基礎/機序解明研究
Science (New York, N.Y.) · 2026PMID: 41505503

本機序研究は、カルニチン生合成に必要なミトコンドリアTML担体SLC25A45を同定し、ミトコンドリア脂肪酸酸化と燃料スイッチングを可能にすることを示した。SLC25A45欠損はカルニチンを枯渇させ脂肪酸酸化を障害し、代謝を糖利用へとシフトさせる。

重要性: カルニチン生合成を司る未解明のミトコンドリア担体を明らかにし、代謝の可塑性と栄養適応の生物学を根本から前進させたため重要である。

臨床的意義: SLC25A45—カルニチン経路の調節は、脂肪酸酸化能が重要な代謝性疾患、カルニチン欠乏、植物性食などの食事適応に対する戦略に資する可能性がある。

主要な発見

  • SLC25A45はトリメチルリシンのミトコンドリア担体として同定され、カルニチン生合成を可能にした。
  • SLC25A45欠損は細胞内カルニチンプールを減少させ、ミトコンドリア脂肪酸酸化を障害した。
  • SLC25A45欠損下では代謝燃料が糖利用へとシフトした。

方法論的強み

  • カルニチンプールと脂肪酸酸化に明確な機能的影響を持つトランスポーターの発見
  • ミトコンドリア代謝物輸送と細胞全体の燃料選択を機序的に連結

限界

  • 前臨床の機序研究であり、ヒト遺伝学的・臨床的検証が必要
  • 組織や食事状況を超えた生理学的影響の定量化にはさらなる研究が必要

今後の研究への示唆: ヒトでのSLC25A45変異の検証、代謝性疾患や食事適応状態におけるカルニチン生合成の治療的制御の評価。

環境適応にはカルニチンを要するミトコンドリア脂肪酸酸化へのエネルギー利用のシフトが関与する。動物性摂取に加え、トリメチルリシン(TML)からのカルニチン生合成は特に植物性食の人で必須だが、その分子制御と生理的役割は不明であった。本研究は、カルニチン生合成と燃料スイッチングを制御するミトコンドリアTML担体SLC25A45を同定した。SLC25A45欠損はカルニチンプールを減少させ、脂肪酸酸化を障害し、糖代謝依存を高めた。

2. EVT0185によるACLYとACSS2の二重阻害は、マウスMASHモデルで脂肪肝、肝星細胞活性化、線維化を低減する

83Level V基礎/機序解明研究
Cell metabolism · 2026PMID: 41500198

ACLY/ACSS2二重阻害薬EVT0185は、肝・血清トリグリセリドを低下させ、インスリン抵抗性を改善し、肝星細胞活性化を抑制して線維化を軽減する。多層オミクスとヒト組織データにより、酢酸(ACSS2)およびコレステロール代謝の抑制が主要機序であることが示された。

重要性: HSC活性化と線維化を直接調節する代謝標的戦略を提示し、MASH治療開発を前進させるため重要である。

臨床的意義: ACLY/ACSS2二重阻害はMASHに対する新規の抗線維化・抗脂質蓄積アプローチとなり得る。早期臨床試験とバイオマーカー開発の根拠となる。

主要な発見

  • EVT0185はマウスMASHモデルで血清・肝トリグリセリドを低下させ、インスリン抵抗性を改善した。
  • 本薬はin vivo/in vitroで肝星細胞活性化を抑制し、空間トランスクリプトミクスとscRNA-seqでACSS2を介する酢酸・コレステロール代謝経路が関与することが示された。
  • EVT0185はヒト肝スライスで新規脂肪合成を抑制し、ヒト初代HSCのTGFβ1誘導活性化を阻止した。

方法論的強み

  • マウスモデル、ヒト肝スライス、ヒト初代HSCによる多層の検証
  • 空間トランスクリプトミクスと単一細胞RNAシーケンスによる機序的深堀り

限界

  • 前臨床研究であり、ヒト臨床アウトカムは未検証
  • オフターゲット作用や代謝代償の可能性の評価が必要

今後の研究への示唆: 薬力学バイオマーカー(ACSS2活性、コレステロール合成など)を用いた第I/II相試験と抗線維化効果の評価、生活習慣介入や他の抗線維化薬との併用検討。

代謝異常関連脂肪性肝炎(MASH)は、肝星細胞(HSC)の活性化に駆動される脂肪化、炎症、線維化を特徴とする。アセチルCoAは新規脂肪合成とコレステロール合成の中心で、クエン酸からACLY、酢酸からACSS2で産生される。本研究では、ACLY/ACSS2二重阻害薬EVT0185が血清・肝トリグリセリド、インスリン抵抗性、線維化を低減することを示した。EVT0185はin vivo/in vitroでHSC活性化を直接抑制し、空間トランスクリプトミクスとscRNA-seqによりACSS2を介した酢酸代謝とコレステロール合成の抑制が表現型の主要因であることが示唆された。さらに、ヒト肝スライスで新規脂肪合成を抑制し、ヒト初代HSCのTGFβ1誘導活性化を阻止した。

3. 保存料食品添加物と2型糖尿病発症の関連:NutriNet-Santé前向きコホート研究

77Level IIコホート研究
Nature communications · 2026PMID: 41501013

2009–2023年に追跡したフランス成人108,723例で、複数の保存料添加物への累積曝露が2型糖尿病発症増加と関連した。多重補正後も12種の広く使用される保存料で有意な関連が残存し、これらの安全性再評価と未加工・低加工食品の推奨を支持する結果となった。

重要性: 一般的な保存料と糖尿病発症を結びつける大規模かつ物質特異的な疫学的証拠を提示し、規制および公衆栄養政策に資する。

臨床的意義: 代謝リスクのある患者には保存料を多く含む超加工食品を最小化するよう助言できる。高曝露者でのスクリーニング重点化や政策立案の根拠にもなる。

主要な発見

  • 評価した58保存料のうち、17は消費率≥10%で、13物質(多重補正後12)がT2D発症増加と関連した。
  • 有意な関連がみられたのは、ソルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸/クエン酸/リン酸、酢酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、ローズマリー抽出物などであった。
  • 曝露評価は反復24時間食事記録と組成データベース、標的実験測定を組み合わせ、1,131件のT2D発症を多変量Coxモデルで解析した。

方法論的強み

  • 反復食事評価と添加物特異的曝露推定を備えた大規模前向きコホート
  • 複数情報源(データベースと実験測定)による曝露把握と厳密な多変量Cox解析

限界

  • 観察研究であり因果推論に限界、残余交絡の可能性を否定できない
  • 詳細な評価にもかかわらず曝露誤分類の可能性がある

今後の研究への示唆: 強いシグナルを示す保存料の曝露閾値と機序の解明、異なる集団での再現、添加物曝露を減らす政策介入の検証。

保存料食品添加物の有害作用が実験研究で示唆されているが、疫学データは乏しい。本研究は、フランスの前向きコホートNutriNet-Santé(n=108,723、女性79.2%、平均年齢42.5歳、2009–2023年)で、これら化合物への曝露と2型糖尿病発症との関連を検討した。反復24時間食事記録で摂取を評価し、複数の組成データベースと食品マトリックスのアドホック試験で曝露を推定、多変量Coxモデルで関連を解析した。58物質のうち、消費率≥10%の17物質を個別検討し、(多重補正後)12物質が糖尿病発症リスク上昇と関連した。