透析を要する成人CKD患者に対するリン低下薬の有効性と安全性:ネットワーク・メタ解析
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7
概要
15,551例を含む70件のRCTの統合解析で、セベラマーはカルシウム含有薬に比べ全死亡を低減した。ランタンおよびスクロフェリックオキシヒドロキシドは冠動脈石灰化の進行を抑制し、ニコチンアミドとスクロフェリックオキシヒドロキシドは消化器イベントが多かった。
主要発見
- セベラマーはカルシウム含有薬に比べ全死亡を低減(RR 0.59、95%CI 0.37–0.94)。
- ランタンおよびスクロフェリックオキシヒドロキシドはCACS進行を抑制(SMD −0.26、−0.50)。
- 消化器イベントはニコチンアミドで最多、次いでスクロフェリックオキシヒドロキシド。
- カルシウム含有薬は他剤に比べ血清カルシウムを上昇させ、iPTHを低下;重炭酸はセベラマー以外で上昇。
臨床的意義
全死亡低減を重視する場合はカルシウム含有薬よりセベラマーを選好し、冠動脈石灰化進行抑制にはランタンやスクロフェリックオキシヒドロキシドを検討する(消化器耐容性とのバランスが必要)。テナパノールも死亡低減で上位の可能性があり、個別の利益・不利益評価が求められる。
なぜ重要か
主要なリン低下薬の比較有効性と安全性(とくに全死亡差)を提示し、CKD-MBD治療選択に直接資するため重要である。
限界
- 間接比較であり、試験間および治療期間(8週間以上)の不均一性がある。
- 有害事象や転帰の報告が研究間で異なり、出版バイアスを完全には否定できない。
今後の方向性
全死亡や石灰化所見の検証、消化器耐容性のトレードオフ解明のため、実地の直接比較試験や個別データによるネットワーク・メタ解析が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化比較試験を統合したネットワーク・メタ解析による高水準の比較エビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER