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スウェーデン・ウプサラの患者における大腸菌菌血症のヘテロ耐性表現型の有病率、誤分類、および臨床的帰結:後ろ向きコホート研究

The Lancet. Microbe2025-01-20PubMed
総合: 77.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 9

概要

大腸菌菌血症255例で、ヘテロ耐性はゲンタマイシン43%、ピペラシリン/タゾバクタム9%と一般的で、日常検査では96%が感受性と誤分類された。該当薬で治療された場合に中間/集中治療入室や死亡のオッズが上昇した。一方、入院期間への影響は認められなかった。

主要発見

  • 大腸菌株におけるBCHRはゲンタマイシン43%、ピペラシリン/タゾバクタム9%、セフォタキシムでは1%未満で検出。
  • 日常の感受性試験はヘテロ耐性株の96%(120/125)を感受性と誤分類。
  • 該当薬で治療された患者では、ヘテロ耐性が中間治療入室(ピペラシリン/タゾバクタムBCHR:OR 3.1、95%CI 1.1–9.6)やICU入室・死亡(ゲンタマイシンBCHR:ICU OR 5.6、死亡OR 7.1)のオッズ上昇と関連。
  • ヘテロ耐性は入院期間とは関連しなかった。

臨床的意義

治療不成功時にはヘテロ耐性を考慮し、高リスク薬剤では集団解析や代替的検出アルゴリズムの導入を検討する。BCHRが示唆される薬剤での単剤療法は可能な限り回避する。

なぜ重要か

見逃されやすい耐性表現型が高頻度で存在し、転帰悪化と直接関連することを示し、現在の感受性試験ワークフローと抗菌薬適正使用の実践に再考を迫る。

限界

  • 単一地域の後ろ向きコホートであり一般化可能性に制限
  • 対象薬剤が3剤に限られ、他の広域薬は未評価

今後の方向性

ヘテロ耐性を迅速に検出する臨床アッセイの開発と、抗菌薬適正使用介入の多施設前向き検証を通じた転帰改善効果の評価が必要。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
診断
エビデンスレベル
III - 実験室表現型評価と臨床アウトカムを伴う後ろ向きコホート研究
研究デザイン
OTHER