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敗血症研究日次分析

1件の論文

救急外来の後ろ向きコホート研究では、感染症患者の20%が意識変容で来院し、院内死亡率は非該当群(4%)に比べ有意に高率(15%)であった。高齢、脳血管疾患、認知症、精神疾患、菌血症、SOFAスコア高値が独立して意識変容と関連し、初期リスク層別化に精神状態評価を組み込む必要性が示唆された。

概要

救急外来の後ろ向きコホート研究では、感染症患者の20%が意識変容で来院し、院内死亡率は非該当群(4%)に比べ有意に高率(15%)であった。高齢、脳血管疾患、認知症、精神疾患、菌血症、SOFAスコア高値が独立して意識変容と関連し、初期リスク層別化に精神状態評価を組み込む必要性が示唆された。

研究テーマ

  • 感染症における神経学的表現型
  • 救急外来におけるリスク層別化
  • 精神状態と関連する予後指標

選定論文

1. 救急外来を受診した感染症患者における意識変容の有病率と臨床的意義

41.5Level IIIコホート研究Internal and emergency medicine · 2025PMID: 40946128

救急外来での連続コホート767例の解析では、感染症患者の20%が意識変容で来院し、院内死亡率は非該当群より高率(15%対4%)であった。多変量解析では、高齢、脳血管疾患、認知症、精神疾患、菌血症、SOFAスコア高値が来院時の意識変容の独立関連因子であった。

重要性: 感染症で救急外来を受診する患者における意識変容の負担と予後への影響を定量化し、独立関連因子を明確化した点で、トリアージと初期治療戦略に資する。

臨床的意義: 感染症患者の初療では、精神状態評価を主要バイタルとして位置付けるべきである。意識変容を認めた場合は、敗血症評価の迅速化、厳密なモニタリング、必要に応じた高次治療への早期移行を検討し、とくに高齢者や脳血管疾患・認知症・菌血症を有する患者で注意を要する。

主要な発見

  • 救急外来の感染症患者767例のうち、20%が意識変容で来院していた。
  • 意識変容あり群はなし群に比べ院内死亡率が高かった(15%対4%;P<0.001)。
  • 意識変容の独立関連因子は、高齢(OR 1.04/年[95%CI 1.02–1.06])、脳血管疾患(OR 2.52[1.45–4.36])、認知症(OR 3.57[2.04–6.23])、精神疾患(OR 3.90[1.17–13.00])、菌血症(OR 2.49[1.39–4.46])、SOFAスコア高値(OR 1.31/点[1.20–1.42])であった。

方法論的強み

  • 一定期間に血液培養が採取された感染症患者という明確な適格基準による救急外来の連続コホート。
  • 多変量ロジスティック回帰で独立関連因子を抽出し、臨床的に重要な転帰(院内死亡)を評価。

限界

  • 限られた期間の後ろ向き研究であり、残余交絡や来院時の意識変容の誤分類の可能性がある。
  • 血液培養が採取された患者に限定しており選択バイアスと一般化可能性の制限が懸念される。転帰は院内死亡に限られ、長期予後は評価されていない。

今後の研究への示唆: 標準化された精神状態評価を用いた前向き多施設研究での再現性確認と、意識変容をトリガーとする診療パスが感染症・敗血症患者の転帰を改善するかの検証が求められる。