敗血症研究日次分析
12件の論文を分析し、3件の重要論文を選定しました。
概要
12件の論文を分析し、3件の重要論文を選定しました。
選定論文
1. フェロスタチン-1は脂質過酸化駆動性のNINJ1媒介DAMP放出と好中球活性化を抑制し、敗血症早期の急性肺障害から保護する
CLPマウスモデルとin vitro解析で、フェロスタチン-1は生存率の改善、肺障害・炎症シグナルの低下、好中球浸潤の抑制を示し、脂質過酸化を抑えるとともにNINJ1の上流でDAMP放出を防ぐ作用が示唆されました。好中球での抗炎症効果はJNK/p38活性化で逆転し、脂質過酸化–NINJ1軸が敗血症早期ALIの治療標的となる可能性を示します。
重要性: 本研究は生体内生存解析、トランスクリプトーム、細胞実験を統合し、脂質過酸化がNINJ1媒介の膜破綻とDAMP放出に結び付くことを示し、敗血症早期肺障害を抑制し得る創薬可能な経路を提示しました。
臨床的意義: 脂質過酸化やNINJ1依存性DAMP放出(例:ラジカル捕捉抗酸化薬)を標的化することで、敗血症早期の肺障害予防が期待され、大動物モデルや早期臨床試験での評価が求められます。
主要な発見
- フェロスタチン-1はCLP誘発敗血症モデルで生存率を改善し、肺障害スコアを低下させた。
- RNA-seqで炎症・走化性プログラムの抑制と肺での好中球浸潤の減少が示された。
- Fer-1はNINJ1の上流で溶解性細胞死とDAMP放出を抑制し、好中球のIL-1β/IL-6を低下させた。
- JNK/p38活性化により、好中球におけるFer-1の抗炎症効果は逆転した。
方法論的強み
- 生体内(CLP)生存・組織学と肺RNA-seq、in vitro好中球解析を組み合わせた。
- 脂質過酸化とNINJ1媒介DAMP放出を機能的逆転実験で機序的に連結した。
限界
- 前臨床のマウスおよびin vitroモデルであり、ヒトへの直接的な一般化に限界がある。
- フェロスタチン-1の用量・投与タイミング・安全性はヒトで未検証である。
今後の研究への示唆: ラジカル捕捉抗酸化薬を大動物敗血症モデルで検証し、脂質過酸化–NINJ1–DAMP軸の薬力学的バイオマーカーを開発、敗血症性ALI予防の早期臨床試験を検討する。
敗血症性急性肺障害(ALI)は、好中球主体の炎症、溶解性細胞死、続くDAMP放出により進展します。本研究では、ラジカル捕捉抗酸化薬フェロスタチン-1(Fer-1)が脂質過酸化誘発性DAMP放出を遮断し、敗血症早期の肺障害を抑制するか検証しました。CLPマウスでFer-1は生存率改善、肺構造保全、炎症性サイトカイン低下を示し、RNA-seqで炎症・遊走転写応答と好中球浸潤を減少させました。In vitroでもFer-1はNINJ1経路関連DAMP放出と溶解死を抑制しました。
2. 培養陰性早産児における抗菌薬曝露:10年間の単施設研究
3,235例の培養陰性極早産児を10年間観察した結果、抗菌薬使用はやや減少したものの、曝露の長期化やAUR高値は死亡や重篤な合併症(壊死性腸炎、慢性肺疾患、未熟児網膜症、脳障害、後期発症敗血症)増加と関連しました。培養陰性時の早期減量・中止を含む適正使用が強く支持されます。
重要性: 培養陰性の極早産児における抗菌薬長期投与の有害性を大規模かつ10年にわたり定量化し、NICUでの適正使用方針に直結する知見です。
臨床的意義: 培養陰性の場合は経験的抗菌薬を36〜48時間で制限するプロトコールの実装、AUR/DOTの標準化モニタリング、迅速診断の活用により不要な曝露の削減を図る必要があります。
主要な発見
- 3,235例の培養陰性児のうち26.0%が5日以上の抗菌薬を受け、8.2%は非投与であった。
- 2012〜2022年でDOTは78.0から61.9/1000へ、AURは0.07から0.05へ低下した。
- AUR高値や曝露延長は死亡、脳障害、壊死性腸炎、未熟児網膜症、後期発症敗血症、慢性肺疾患の増加と関連した。
方法論的強み
- 電子データベースから標準化抽出した10年に及ぶ大規模単施設コホート。
- DOTやAURといった定量指標を用い、多数の臨床的に重要な転帰を評価。
限界
- 後ろ向き単施設デザインであり、因果推論と一般化に限界がある。
- 疾患重症度などの残余交絡の影響が完全には制御されていない可能性がある。
今後の研究への示唆: 培養陰性児の曝露削減に向け、減量アルゴリズムや迅速診断を用いた多施設前向き介入研究を行い、安全性と神経発達転帰を評価する。
NICUにおける抗菌薬曝露は高頻度です。本後ろ向きコホートでは、在胎32週未満の培養陰性極早産児3,235例を解析し、抗菌薬治療日数(DOT)や使用率(AUR)と転帰の関連を検討しました。2012〜2022年でDOTとAURは減少しましたが、AUR高値や曝露延長は死亡、脳障害、壊死性腸炎、網膜症、後期発症敗血症、慢性肺疾患の増加と関連しました。
3. 術前尿培養と術中結石/腎盂尿培養の不一致はPCNL後敗血症の予測因子:標的化抗菌薬適正使用に向けた単施設後ろ向き解析
PCNL 250例のうち30%で術前と術中培養が不一致で、PMUCの上部尿路コロニー検出感度は48%でした。不一致はSepsis-3定義の術後敗血症を独立して予測(調整OR 6.23)し、術前尿が無菌で術中陽性となる症例が大半を占めました。術中培養のルーチン実施による適正使用が支持されます。
重要性: 多変量解析、LASSO、傾向スコアマッチングで厳密に補正し、不一致と敗血症を関連付けることで、術周期の抗菌薬戦略に活用可能な修正可能な診断ギャップを示しました。
臨床的意義: PMUCのみに依存せず、術中の結石・腎盂尿培養を取得して標的化治療に反映し、特に術前尿が陰性の患者でPCNL後敗血症リスクを低減すべきです。
主要な発見
- PMUCと術中検体の培養不一致は30%(75/250)に認めた。
- 上部尿路コロニー検出におけるPMUCの感度は48%で、半数超を見逃した。
- 不一致はPCNL後敗血症を独立して予測した(調整OR 6.23、95%CI 2.20–17.62)。
- 不一致群の敗血症の大半(92.3%)は術前尿無菌かつ術中培養陽性であった。
方法論的強み
- LASSO罰則を併用した多変量ロジスティック回帰と傾向スコアマッチング。
- Sepsis-3基準と術前・術中のペア培養による診断性能評価。
限界
- 単施設の後ろ向き研究であり、外的妥当性に限界がある。
- 術中培養に基づく治療の前向き介入的検証は行われていない。
今後の研究への示唆: 術中培養に基づく抗菌薬調整と標準治療の比較前向き試験や、結石バイオフィルムを対象とした術中迅速診断の開発が必要である。
目的:経皮的腎結石破砕術(PCNL)において、術前中間尿培養(PMUC)と術中の結石・腎盂尿培養の整合性と、両者の不一致が敗血症を予測するかを評価した。方法:2023年1月〜2025年10月のPCNL成人250例の後ろ向きコホート。全例でPMUCと術中培養を実施し、主要アウトカムはSepsis-3で定義したPCNL後敗血症。結果:不一致は30%で、PMUCの感度は48%。敗血症は全体の6.8%に発生し、不一致群で高率(17.3%対2.3%)。不一致は調整OR6.23で最強の独立予測因子であった。結論:PMUCは上部尿路微生物叢の代替として不十分であり、不一致はPCNL後敗血症の有力な予測因子である。