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敗血症研究週次分析

3件の論文

今週の敗血症研究では、単純な培養陽性新生児敗血症に対する抗菌薬7日間が14日間と非劣性であることを示した多施設RCT、mcr-1陽性グラム陰性菌に対して生理学的条件下でコリスチンの活性が補体系相乗で再評価された研究、死亡率を予測し抗菌薬反応を修飾する院内肺炎の堅牢なサブフェノタイプ同定が注目されました。これらは抗菌薬ステュワードシップの実務、感受性試験の再検討、呼吸器感染の予後/予測的層別化に直結します。加えてEV-miRNA、BALFエピジェネティクス、ESR動態×機械学習といった診断・治療の新方向も示されました。

概要

今週の敗血症研究では、単純な培養陽性新生児敗血症に対する抗菌薬7日間が14日間と非劣性であることを示した多施設RCT、mcr-1陽性グラム陰性菌に対して生理学的条件下でコリスチンの活性が補体系相乗で再評価された研究、死亡率を予測し抗菌薬反応を修飾する院内肺炎の堅牢なサブフェノタイプ同定が注目されました。これらは抗菌薬ステュワードシップの実務、感受性試験の再検討、呼吸器感染の予後/予測的層別化に直結します。加えてEV-miRNA、BALFエピジェネティクス、ESR動態×機械学習といった診断・治療の新方向も示されました。

選定論文

1. 培養陽性新生児敗血症に対する抗菌薬7日間対14日間:低中所得国における多施設ランダム化非劣性試験

85.5Archives of disease in childhood. Fetal and neonatal edition · 2025PMID: 40280737

出生体重≥1000gで7日目に臨床的寛解を示した培養陽性新生児を対象とした多施設ランダム化非劣性試験で、7日間投与は14日間と比べ再発(治療完了後21日以内)で非劣性を示し、中央値で在院日数を4日短縮しました(合計261例、アウトカム評価はマスク)。

重要性: 明確に定義された新生児サブグループに対し、抗菌薬投与短縮を直接支持する高品質なランダム化エビデンスを提供しており、ステュワードシップ、コスト、耐性対策に実務的な影響を与えます。

臨床的意義: 臨床的に改善し、培養で証明された新生児敗血症(出生体重≥1000gで7日目に寛解)には7日間投与を検討できる。適用時は対象基準と地域の起因菌プロファイルを考慮し、適切なフォローアップを行うこと。

主要な発見

  • 7日間療法は治療完了後21日以内の再発について14日間療法に対して非劣性であった。
  • 7日群は在院日数の中央値が4日短縮した。

2. コリスチンは宿主防御との相乗作用を介してmcr陽性腸内細菌科に強力な活性を示す

83The Journal of clinical investigation · 2025PMID: 40261712

生理学的緩衝を含む培地やヒト新鮮血のex vivo条件で、コリスチンはmcr-1陽性E. coli、K. pneumoniae、S. entericaに対して殺菌活性を保持し、補体沈着を促進して血清と相乗的に作用し、マウス菌血症モデルでも単剤有効性を示しました。従来のASTによる除外に異議を唱えます。

重要性: 従来の富栄養培地ASTが宿主–薬剤の臨床的相乗を検出できないことを示し、生理学的条件下でmcr-1陽性菌血症に対するコリスチンの役割を再検討させる重要な知見です。

臨床的意義: 微生物検査室と臨床家は生理学的条件下での評価を検討し、補体など宿主因子を踏まえてASTを解釈すべきです。選択的なmcr-1陽性菌血症に対するコリスチンの前向き臨床評価が望まれます。

主要な発見

  • 生理的重炭酸塩含有培地では、従来のASTで検出されないにもかかわらずコリスチンはmcr-1陽性腸内細菌科を殺菌した。
  • コリスチンは補体沈着を増強しヒト血清と相乗して作用し、ヒト新鮮血中で菌を殺菌、マウス菌血症モデルでも有効であった。

3. 全死亡と関連する堅牢な院内肺炎サブフェノタイプの同定と検証:多コホートでの導出と検証

82.5Intensive care medicine · 2025PMID: 40261385

4つの国際導出コホートと独立したRCTデータ(VITAL)で検証し、再現性のある2つのHAPサブフェノタイプを同定しました。高リスクサブフェノタイプは生理学的状態が悪く、炎症と呼吸器マイクロバイオームの乱れを伴い、28日死亡率と治療失敗率が高く、抗菌薬効果が修飾されることが示され、予後や予測的層別化に応用可能です。

重要性: 結果を予測し抗菌薬効果を修飾する外部検証済みで生物学的に整合するサブフェノタイプを提示しており、層別化試験や個別化管理に実用的な進展をもたらします。

臨床的意義: サブフェノタイプ分類器を診療経路に組み込むことで、集中的監視や代替療法が必要な患者を同定し、ターゲット介入の恩恵を最も受けやすい患者を対象にした試験実施が可能になります。

主要な発見

  • 4コホートで一貫して2つのHAPサブフェノタイプを同定;サブフェノタイプ2は重症度・炎症・マイクロバイオーム異常が大きく、28日死亡率が高かった。
  • 独立RCT(VITAL)での解析でサブフェノタイプが抗菌薬効果を修飾し、予測的層別化の可能性を支持した。